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宮古島市住生活基本計画
宮古島市住生活基本計画について
計画の目的
本計画は今後の住宅政策の基本となり、「総合計画」を上位計画とし、宮古島市住生活基本計画の具体施策の一部として策定するものです。沖縄県住生活基本計画の地域別の宮古島市での計画を具現するため、より詳細な地域課題を検討し、提言・整理したものです。
策定に当たっては、今後の住まいづくりが福祉や教育、まちづくりと密接に絡むことから、老人福祉計画、障がい者計画、児童育成計画、そして策定中の都市計画マスタープランとの整合性を図らなければなりません。 また、住生活基本計画は全般的な住宅政策に関連するものであり、市民や事業者などの民間部門との協働の必要性を示すものとします。 さらに、ストック総合活用計画は住生活基本計画を踏まえ、行政としての計画で市と県の役割分担にも考慮し、整理しました。
住宅施策の課題
1)人口動態へ対応した住宅・住環境の整備
<現状>
- 人口は旧平良市―横ばい。他の地区は人口減少。社会減による人口減少 ・ 市街地は昭和56年以降拡大していない。人口集中地区は1.6万人前後で横ばい。
- 人口集中地区の人口密度は急減(昭和50年-93.4人/ヘクタール→平成17年-49.4人/ヘクタール)、中心地区の地盤沈下が著しい。 ・ 築23~37年(昭和46年~昭和55年)の住宅が二割でもっとも多い(旧平良市)。
- 住宅新築は平良市に集中。用途区域外の新築が多い。特に用途区域内と重なる地区(久貝、下里、西里、西仲宗根、東仲宗根)、荷川取で多く、市街地周辺部に新築が集中している。
- 本土からの移住者が多くなる傾向にあり、空き家・中古住宅に居住。
<課題>
- 市街地周辺部への新築増へ対応した住宅・住環境の整備。
- 中心市街地での人口の減少、高齢化、住宅の老朽化に対する整備
- 農村部の人口減少に対する住宅、住環境整備。
- 県外からの移住者対策
2)居住形態の変化に対応した住宅・住環境の整備
<現状>
- 旧平良市以外で老齢人口割合が高い。高齢独居世帯の増加
- 世帯数は増加。一人世帯、二人世帯がもっとも多い。
- 住宅が古く、将来は旧平良市から出身地に戻りたい傾向にある(アンケート)。
- 持ち屋が約半数であるが、民営借家が急増(旧平良市)。
- 共同住宅が急増、近年、持ち屋を上回る(旧平良市)。
- 高額所得者でも民営借家は比較的多い(旧平良市)。
<課題>
- 旧平良市への世帯分離による借家居住に対応した住宅・住環境整備。
- 農村部での高齢化、独居世帯に対応した住環境の整備。
- リタイア後のシルバーライフの出身集落への回帰
3)多様化した家族構成や社会的弱者に対応した住宅・住環境の整備
<現状>
- 高齢者人口割合の増加(県平均より高い)。旧平良市以外で老齢人口割合が高い。
- 年少人口割合の減少(県平均並み)。子育て世帯が一般世帯の約3分の1を占める。
- 生活保護世帯の増加。特に平良地区での増加。
- 城辺、伊良部地区の生活保護世帯も比較的に多い。
- 高齢者・障害傷病者による生活保護世帯が多い。
- 高齢者・障がい者対策として、具体的には福祉施設と連携し在宅でのサービスを求めている(アンケート)。
- 世帯数は増加。一人世帯、二人世帯がもっとも多い。
- 空き家は増加傾向にある。
- 住宅リフォーム支援、子育て支援、高齢者・障がい者支援の住宅施策を望むのが多い(アンケート)。
- 行事、祭事用に住宅を広く確保(一住宅当り延床面積-82.67平方メートル(県平均-77.39平方メートル))。
- 公営住宅は過疎対策として農村集落周辺に小規模立地。
- 公営住宅の供給戸数は多い。
<課題>
- 高齢者・障害傷病世帯の在宅での福祉サービス可能な住宅整備
- 福祉、子育て支援のための住宅支援
- 地域コミュニティを助長・強化する住宅・住環境の整備
- 集落環境と一体となった公営住宅政策の必要性
4)自然環境に対応した住宅・住環境の整備
<現状>
- 地形が比較的に平坦で、湿気、風、塩害、などへの不満が大きい(アンケート)。
- 太陽光発電、台風対策、バリア・フリーなどのリフォーム支援要望が多い(アンケート)
- 平坦地形で台風などの風衝対策としての細街路対策も見受けられる(4m未満街路への接道地域も多い(41.6%))。
<課題>
- 環境と共生する住宅・住環境整備
- 台風に強い住宅・住環境の整備
5)住情報の共有化・組織化
<現状>
- 住情報の提供、相談窓口の設置、住民主体の住まい
- 街づくり支援、緑化支援などの要望も比較的に多い(アンケート)。
- 住宅リフォームの支援は台風対策、太陽光発電など住宅セクション以外での対応すべき要望も多い(アンケート)。
- 高齢者・身障者と子育て・介護以外に、UIJターンや環境行政部門での住宅支援要望であり、各担当セクションの連携が必要(行政)。
- 逆に住宅に関する財政の支援内容が多岐に亘り、市民に周知・活用が求められる。
- 財政支援は建築家の専門的知見や銀行の低利融資制度の助言も必要とし、民間の専門家の参画も求められる。
<課題>
- 住情報の共有化
- 行政の連携と民間の専門家の参画
住宅生活の基本目標
“風”と共に住まい、支えあう人づくり
具体的な内容は以下のようである。
- 宮古島市は台風の常襲地である。方言では「カジ(風)フチ(吹く)」と呼称されている。台風でも<雨>は慈雨で歓迎されるが<風>が嫌われている。実際、宮古島市の住宅は雨戸が欠かせず、潮風による塩害で金属製の外回りは用を成さなくなる。台風対策は風対策である。
- 宮古島市は湿気が多く、住生活でカビ対策が必要となっている。そのため、窓のみではなく、押し入れも開放し、風を呼び込む。台風以外の日常生活では、風は友である。
- 沖縄は冬場の北風(ミーニシ)対策として、集落が構成されている。冬の北風を背に夏の南からの涼風を呼び込むように室内が配置され、快適な住環境となっている。風は環境形成の基底となっている。
- 市街地へ若い世帯が集まり、農村部が高齢化している。それでも親と子が島内で行き来し、都市と農村は同一の生活圏である。それを支えるのはコミュニティである。コミュニティの基盤は人づくりである。
- 島の厳しい自然環境を背負い、宮古人は住環境のみでなく、住情報まで共有している。誰かが誰かを知っており、お互いが支え合う。その地縁を島全体で組織化し、住まいづくりに活かしたい。
施策方針
1)風土に根ざした住まいづくり
施策の方向
宮古島市の主に地理的位置から、以下のような課題が把握された。
- 環境と共生する住宅・住環境整備
- 台風に強い住宅・住環境の整備
- 地域コミュニティを助長・強化する住宅・住環境の整備
自然環境の厳しさに抗するような住宅対策が求められている。さらに、そのような環境の中で培ってきた風土を強化すべく、資源循環型で環境に優しい以下のような魅力ある住まいづくりが求められている。
-
風害、塩害対策
- 雨戸、塗装等の推奨
- 台風対策のリフォーム支援
- 災害に強い伝統的な集落環境内への住宅整備の誘導
-
環境負荷の軽減
- 建築リサイクル法の推進(建設廃材の分別化、再資源化による抑制)
- 環境と共生する住宅の促進
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環境の維持
- 景観計画の策定(条例の検討)
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長寿住宅の普及
- 生涯生活設計住宅の供給
- 可変性住宅の供給
- 新耐震基準の推進
- 宮古に適した住宅づくりのガイドラインの検討・策定
(2)高齢者、身障者の自立生活と子育て世代を支える住まいづくり
施策の方向
高齢者、身障者、子育て世帯は農村部、市街地を問わず大きな課題であり、以下のように整理された。
- 中心市街地での人口減少・高齢化、住宅の老朽化に対する整備。
- 農村部での高齢化、独居世帯に対応した住環境の整備。
- 福祉、子育て支援のための住宅支援
- 高齢者・障害傷病世帯の在宅での福祉サービス可能な住宅整備。
個々の住宅施設内での対応と、適応する住宅の供給体制が求められ、以下のような施策が必要である。
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在宅での福祉サービス可能な高齢者、障がい者向け住宅の確保、制度の充実
- 地域優良賃貸住宅(旧高齢者向け優良賃貸住宅)の活用
- 家賃債務保証制度の普及(高齢者住宅財団の制度利用)
- 高齢者円滑入居賃貸住宅の普及
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バリアフリー化の促進
- 介護保険制度等との連携
- 既存融資制度の普及と活用
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子育て世代の定住化の促進
- 地域優良賃貸住宅(特定優良賃貸住宅制度)の活用による子育て世代住宅の供給(再掲)
- 市営住宅への多子世帯の優先入居制度の導入と支援施設の併設
(3)街なか居住の推進
施策の方向
市街地周辺部に新築が増えるのと反対に中心地区の人口減少が見られ、以下のような課題が把握された。
- 市街地周辺部への新築増へ対応した住宅・住環境の整備。
- 中心市街地での人口の減少、高齢化、住宅の老朽化への対策。
- 旧平良市への世帯分離による借家居住に対応した住宅・住環境整備。
- 県外からの移住者対策
中心市街地での対策が急務であり、以下のような施策が求められる。
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既存住宅ストックの改善と流通
- 既存融資制度(中古住宅、リフォーム融資、バリアフリー)の活用
- 中古住宅の再活用
- 住宅性能表示制度の実施
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中心市街地での老朽化対策と空きビル転用による地域活性化拠点の検討
- 福祉施設、子育て施設整備への空きビル転用(宅老所、子育てサークル支援施設等)
- 移住者の暫定的使用
- 歩行者ネットワークの形成
- 建て替えの促進(官と民の組織づくり)
(4)集落環境に支えられた良質な住環境の形成・活用
施策の方向
宮古島市の農村部は減少傾向にあり、高齢化が進み、以下のような課題が指摘された。
- 農村部の人口減少に対する住宅、住環境整備。
- 自然環境に対応した住宅・住環境整備
- 農村部での高齢化、独居世帯に対応した住環境の整備。
- 集落環境と一体となった住宅政策の必要性
- リタイア後のシルバーライフの本籍集落への回帰
- 福祉、子育て支援のための住宅支援
元来集落が保持しているコミュニティの濃密な関係、自然豊かな住環境を支援すべく、以下のような施策を展開したい。
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定住化の促進
- シルバーライフを睨んだ長寿住宅の供給(再掲)
- 市営住宅への優先入居
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地域拠点としての市営住宅の活用
- 福祉施設との連携(シルバーハウジングの供給、高齢者入居の優遇措置の検討)
- 集落活動の支援施設の併設
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交流人口の促進
- 空き家の活用(マルチ・ハビテーションの推進(官と民の組織づくり))
- 「優良田園住宅」建設の検討
(5)住まいづくりを支える民間と協働の組織づくり
施策の方向
宮古島市の現在の人口動態と将来の居住形態の課題として以下のようなことが示された。
- 住情報の共有化
- 行政の連携と民間の専門家の参画
- 県外からの移住者対策
- 福祉、子育て支援のための住宅支援
- 地域コミュニティを助長・強化する住宅・住環境の整備
このような高齢化や住宅の住み替え対策としては官と民の共同による対策が不可欠であり、以下のような組織づくりを提案する。
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居住支援制度の組織化
- 高齢者の入居・居住保証人が得にくいことによる保証支援
- 子育て世帯の住み替え情報の提供・支援
- 県外移住者への住居の紹介、住まい方の支援・指導
- 公営住宅の一元管理
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公営住宅の管理・運用
- 困窮世帯への住宅供給による住環境の底上げ
- 利便・共用施設の併置によるコミュニティ活動と維持・管理活動の充実
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行政と市民グループ、企業のパートナシップ機関の常設
- 居住支援組織の公的支援
- 運営調整機関の開催、運営
- ファンドの設立、情報誌の発行
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運営調整機関による地域住民との随時調整
- プロジェクト、基盤整備の調整
- 民間の建て替え希望者の支援
施策の体系
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